カイル・ジョセフ・シュワーバー(Kyle Joseph Schwarber, ; 1993年3月5日 - )は、 アメリカ合衆国オハイオ州ミドルタウン出身のプロ野球選手(外野手)。右投左打。MLBのフィラデルフィア・フィリーズ所属。愛称はシュワブス(Schwarbs)。
経歴
プロ入り前
地元のミドルタウン高等学校在籍時の4年間で、打率.408、18本塁打、103打点を記録した。高校卒業後、インディアナ大学へ進学した。
大学時代、好成績を記録し、大学野球アメリカ合衆国代表にも選出された。
プロ入りとカブス時代
2014年のMLBドラフト1巡目(全体4位)でシカゴ・カブスから指名され、プロ入り。傘下のA-級ボイシ・ホークスでプロデビューし、その後、A級ケーンカウンティ・クーガーズ、A 級デイトナ・カブスに昇格した。
2015年はAA級テネシー・スモーキーズでプレーし、58試合で打率.438、63安打を記録。6月16日にメジャー昇格を果たし、ミゲル・モンテロの負傷に伴い、クリーブランド・インディアンス戦でメジャーデビューを果たした。翌日の試合では指名打者で出場し、MLB初安打を含む5打数4安打、2打点を記録した。MLBで6試合に出場し、打率.364、1本塁打、6打点、8安打を記録したが、モンテロの負傷からの復帰に伴い、AAA級アイオワ・カブスに降格した。7月12日にオールスター・フューチャーズゲームにアメリカ合衆国選抜として出場し、3打数1安打、2打点を記録しMVPを受賞した。7月16日、モンテロの負傷に伴い、再びメジャー昇格した。デビュー1年目は主に左翼手や捕手として出場機会を得て、69試合の出場ながら打率.246、16本塁打、43打点、出塁率.355を記録した。右投手相手には打率.278、14本塁打と得意にしていたのに対し、左投手相手には打率.143、2本塁打と左投手への対応に課題を残した。自身初のポストシーズンでは、外野守備で拙守を露呈したが、打撃ではワイルドカードゲームでピッツバーグ・パイレーツのゲリット・コールから豪快な2点本塁打を放ったのを皮切りに、続くセントルイス・カージナルス戦では4試合で2本の本塁打を放った。ニューヨーク・メッツとのリーグチャンピオンシップシリーズでも同じく4試合で2本塁打を放ち、新人ながらポストシーズンで計5本塁打を記録した。
2016年は開幕から3試合目となった4月7日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦、2回裏の守備でジーン・セグラの左中間への打球を追って、中堅手のデクスター・ファウラーと交錯し、負傷退場した(セグラの打席の記録はランニング本塁打)。その後、左膝の前十字靭帯と外側側副靱帯の断裂が判明し、シーズン中の復帰は絶望となり、4月11日に60日間の故障者リストに登録された。このシーズンは僅か2試合の出場に留まり、1安打も記録することができなかったが、10月22日に故障者リストから復帰するとアリゾナ・フォールリーグのメサ・ソーラーソックスに参加し、指名打者で出場した。10月25日にワールドシリーズのアクティブロースターに登録され、第1戦から「5番・指名打者」で先発出場した。ワールドシリーズでは打率.412でチームの優勝に貢献した。
2017年の序盤は不振にあえぎ、6月下旬にはマイナーに降格した。それまでの成績は打率.171、12本塁打、28打点で、3打数に1三振を喫した。7月6日にメジャーに昇格すると、最終的に129試合に出場し、打率.211、30本塁打、59打点、出塁率.315を記録した。
2018年は前年オフに30lb(約14kg)減量して開幕を迎えた。オールスターゲームの本塁打競争に参加し、決勝まで進んだ。このシーズンは137試合に出場して自身初となる規定打席に到達し、打率.238、26本塁打、61打点、出塁率.356を記録し、敬遠数ではナショナルリーグ最多となる20を記録した。
2019年は自己最多となる155試合に出場し、キャリアハイとなる打率.250、38本塁打、92打点、出塁率.339を記録した。しかし、守備面では左翼手の失策数でナ・リーグ最多となる6を記録し、守備率.947はナ・リーグワーストだった。
2020年は新型コロナウイルスの影響で60試合の短縮シーズンになった中、59試合に出場してナ・リーグワーストとなる打率.188、11本塁打、24打点、出塁率.308に留まった。オフの12月2日にノンテンダーFAとなった。
ナショナルズ時代
2021年1月9日にワシントン・ナショナルズと700万ドルの単年契約を結んだ。2022年シーズンは相互オプションとなり、バイアウトの際は300万ドルが支払われる。シーズンでは5月17日にリグレー・フィールドでの前年まで所属したカブス戦に出場すると、カブスファンからはスタンディングオーべションを受け、この試合では本塁打も記録した。6月19日のメッツとのダブルヘッダー2試合目に2本の本塁打を記録し、翌20日のメッツ戦では1回にタイフアン・ウォーカーから先頭打者本塁打を放つと、5回にも再びウォーカーから本塁打、7回にはジェウリス・ファミリアから2点本塁打を放ち、ナショナルズではアンソニー・レンドン以来、史上3人目となる1試合3本塁打を記録した。また、この2試合で計5本塁打を記録しており、2試合で5本塁打はナショナルズではブライス・ハーパー以来となる球団史上2人目の記録となった。6月29日のタンパベイ・レイズ戦でリッチ・ヒルから先頭打者本塁打を放ち、サミー・ソーサ、バリー・ボンズに並ぶMLB歴代10位となる「月間16本塁打」を記録し、6月の月間本塁打数ではソーサの20本塁打に次ぐ歴代2位となった。また、19日のメッツとのダブルヘッダー2試合目から、29日までのレイズ戦の10試合の間で計12本塁打を記録し、1995年にアルバート・ベルが記録した「10試合で12本塁打」に並ぶMLB記録となった。ナショナルズ監督のデーブ・マルティネスは「野球ファンならシュワーバーを見たら、本当すごいって言葉しか出ないと思うよ。私は野球に長いこと携わってきたが、こんなことは見たことない」とコメントした。前述の活躍から6月は打率.280、16本塁打、30打点、出塁率.362、長打率では脅威の.760を記録し、自身初となるプレイヤー・オブ・ザ・マンスを受賞した。しかし、7月2日のロサンゼルス・ドジャース戦で走塁の際に右ハムストリングを痛め交代し、翌3日にMRI検査を行ったところ異常が発覚した為、10日間の故障者リスト入りした。7月4日に選手間投票で控え野手として自身初めてオールスターに選出されたが、辞退している。
レッドソックス時代
2021年7月29日にアルド・ラミレスとのトレードで、ボストン・レッドソックスへ移籍した。オフの11月5日にオプションを破棄してFAとなった。
フィリーズ時代
2022年3月20日にフィラデルフィア・フィリーズと4年総額7900万ドルの契約を結んだ。2年連続でオールスターゲームに選出された。最終的にキャリアハイとなる46本塁打を記録しナ・リーグ本塁打王を獲得した。オフの12月5日には自身初となるセカンドチームの外野手の1人としてオールMLBチームに選出された。
2023年はシーズン開幕前の2月10日に第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のアメリカ合衆国代表に選出された。
レギュラーシーズンでは、打率.197、215三振と粗さが目立ったが、47本塁打、104打点と長打力を発揮し、四球を126個選んだことで、出塁率は.343に達した。なお、打率1割台で40本塁打以上・100打点以上はNPB・MLBを通じて史上初の記録である。
2024年9月5日、トロント・ブルージェイズ戦で初回に記録した先頭打者本塁打はシーズン13本目となり、ニューヨーク・ヤンキースのアルフォンソ・ソリアーノが2003年に作ったMLBのシーズン最多記録に21年ぶりに並んだ。通算でも44本目の先頭打者本塁打でMLB歴代9位タイとなった。9月10日のレイズ戦でシーズン14本目の先頭弾となる35号ソロで先頭打者本塁打のシーズン最多記録を更新した。
詳細情報
年度別打撃成績
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
WBCでの打撃成績
年度別守備成績
- 捕手守備
- 内野守備
- 外野守備
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
タイトル
- 本塁打王:1回(2022年)
表彰
- MiLB
- オールスター・フューチャーズゲームMVP:1回(2015年)
- MLB
- シルバースラッガー賞(外野手部門):1回(2022年)
- プレイヤー・オブ・ザ・マンス:2回(2021年6月、2022年6月)
- Topps ルーキーオールスターチーム(外野手部門:2015年)
- オールMLBチーム
- セカンドチーム外野手:1回(2022年)
記録
- MiLB
- オールスター・フューチャーズゲーム選出:1回(2015年)
- MLB
- MLBオールスターゲーム選出:2回(2021年、2022年)
- 月間本塁打数:16本塁打(2021年6月)※サミー・ソーサ、バリー・ボンズと並びMLB歴代10位、6月の月間本塁打数では同2位
- シーズン最多先頭打者本塁打:15本(2024年)
背番号
- 12(2015年 - 2021年途中、2022年 - )
- 18(2021年途中 - 同年終了)
代表歴
- 2013年日米大学野球選手権大会アメリカ合衆国代表
- 2023 ワールド・ベースボール・クラシック・アメリカ合衆国代表
脚注
注釈
出典
関連項目
- メジャーリーグベースボールの選手一覧 S
外部リンク
- 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
- Kyle Schwarber stats MiLB.com (英語)
- Indiana Hoosiers bio
- Kyle Schwarber (OfficialKyleSchwarber) - Facebook
- Kyle Schwarber (@kschwarb12) - X(旧Twitter)
- Kyle Schwarber (@kschwarb12) - Instagram




