ROMK(renal outer medullary potassium channel)は、カリウムイオンを細胞外へ輸送するATP依存性カリウムチャネル(Kir1.1)である。ROMKは太い上行脚におけるカリウムの再吸収や集合管におけるカリウムの分泌に重要な役割を果たしている。ヒトでは、ROMKはKCNJ1(potassium inwardly-rectifying channel, subfamily J, member 1)遺伝子によってコードされている。
機能
カリウムチャネルは哺乳類細胞の大部分に存在し、広範囲の生理的応答に関与している。KCNJ1遺伝子にコードされるROMKは膜内在性タンパク質であり、内向き整流性カリウムチャネルである。ROMKは細胞内のATPによって阻害され、カリウムの恒常性に重要な役割を果たしていると考えられている。ROMKはカリウムの細胞外への流出よりも細胞内への流入を行う傾向があり、そのため内向き整流性チャネルと呼ばれる。ROMKはミトコンドリアのATP感受性カリウムチャネル(mitoKATP)のポア形成要素として同定されており、このチャネルは心臓における虚血再灌流傷害時の心保護や、脳卒中やその他の脳虚血発作による低酸素脳症からの保護に重要な役割を果たすことが知られている。
Klothoは、ROMKからシアル酸を除去することで活性化するβ-グルクロニダーゼ様酵素である。
臨床的意義
KCNJ1遺伝子の変異は出生前バーター症候群と関連している。この疾患は塩類喪失、低カリウム性アルカローシス、高カルシウム尿症、低血圧によって特徴づけられる。
低カリウム血症とマグネシウム欠乏における役割
ROMKチャネルはネフロンの正常な生理的状態ではマグネシウムによって阻害されている。低カリウム血症状態では、合併するマグネシウム欠乏のためカリウムの補充だけでは補正が困難な低カリウム状態となる可能性がある。このことはマグネシウム濃度が低い状態では外向きカリウム電流の阻害が低下することが直接的な原因となっている可能性がある。逆に、マグネシウム欠乏単独では低カリウム血症状態が引き起こされる可能性は低い。SGK1はROMKをリン酸化することが報告されており、遠位尿細管の頂端膜上のチャネルの増加が引き起こされる。SGK1はミネラロコルチコイド受容体によって調節されており、この作用がアルドステロンのカリウム利尿作用に寄与している可能性がある。
出典
関連文献
外部リンク
- ROMK1 protein, human - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス(英語)
- NDI terminology page




