石坂 正(いしざか せい、1950年12月24日 - )は、日本中央競馬会(JRA)栗東トレーニングセンターに所属していた元調教師。

ヴァーミリアン、三冠牝馬ジェンティルドンナほか、数々の活躍馬を管理していた。

佐賀県出身。立命館大学経済学部卒。実子は調教師の石坂公一。

経歴

1950年、佐賀県に生まれる。父親は佐賀大学にて英文学専攻の教授をしていた。学生時代から熱心な競馬ファンであり、立命館大学を卒業後に北海道へ移り、競走馬の牧場に就職。この時は長続きせず退職し、以後しばしアルバイト生活を送った。しかし1978年、致命的な骨折からの闘病を続けていた競走馬・テンポイント死亡の報に接して、突如「無性に牧場で働きたく」なり、競馬雑誌に掲載されていた優駿牧場(現・待兼牧場)の従業員募集に応募、28歳で同場に就職した。

半年後、優駿牧場創立者の一名である中央競馬調教師・内藤繁春(滋賀県栗東トレーニングセンター所属)に誘われ、内藤の元で厩務員となった。翌年調教助手資格を取得し、1982年には新規開業した同郷の橋口弘次郎厩舎へ移籍。以後15年間橋口厩舎で助手を務めた。

調教師時代

1997年3月、通算12回目の受験で調教師免許を取得し、翌1998年3月、栗東トレーニングセンターに自身の厩舎を開業した。初年度から11勝と新人としては好成績を挙げた。2年目は期待馬であったキョウエイユカの死亡などもあり12勝と伸びなかったが、翌2000年10月、管理馬ダイタクヤマトがスプリンターズステークスで16頭立て16番人気という低評価を覆して優勝。石坂と共に重賞初勝利をGI競走で飾った。同馬は石坂の開業祝いに橋口厩舎から転厩となった経緯があり、移籍当時は準オープン馬であった。

2001年からは年間30勝前後を安定して記録するようになり、2006年には アロンダイトがジャパンカップダートを制して6年ぶりのGI制覇。2007年にはヴァーミリアンとアストンマーチャンで5つのGI級競走(含むJpnI)を制した。ヴァーミリアンは世界最高賞金競走のドバイワールドカップに2年連続で出走したほか、2009年にはJBCクラシックを制したことでGI勝利が8となり、JRA顕彰馬のシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクトなどが保持したGI勝利数の日本記録を更新。最終的には2010年に川崎記念を制して記録を9まで伸ばした。

2011年には自己最高の年間44勝(JRA)を挙げて優秀調教師賞を初受賞した。翌2012年にはジェンティルドンナで桜花賞を勝ちクラシック競走初勝利。さらに同馬は優駿牝馬(オークス)、秋華賞を制して史上4頭目の牝馬三冠を達成し、石坂も史上11人目の三冠トレーナーとなった。

2021年2月28日をもって、定年のため調教師を引退。

生涯通算成績は(JRA)5813戦690勝 GI14勝 GII13勝 GIII22勝(地方)123戦19勝 GI9勝 GII6勝 GIII3勝(海外)6戦2勝 GI1勝 

調教師成績

受賞

  • 優秀調教師賞(関西)(2011年)

主な管理馬

GI級競走優勝馬

太字はGI・JpnI競走

  • ダイタクヤマト(2000年スプリンターズステークス、スワンステークス、2001年阪急杯)
  • アロンダイト(2006年ジャパンカップダート
  • ヴァーミリアン(2004年ラジオたんぱ杯2歳Sステークス、2005年彩の国浦和記念、2006年ダイオライト記念、名古屋グランプリ、2007年川崎記念JBCクラシックジャパンカップダート東京大賞典、2008年フェブラリーステークスJBCクラシック、2009年帝王賞JBCクラシック、2010年川崎記念
  • アストンマーチャン(2006年小倉2歳ステークス、ファンタジーステークス、2007年スプリンターズステークス、フィリーズレビュー)
  • ブルーメンブラット(2008年マイルチャンピオンシップ、府中牝馬ステークス)
  • ジェンティルドンナ(2012年桜花賞優駿牝馬秋華賞(中央競馬牝馬3冠)、ジャパンカップ、シンザン記念、ローズステークス、2013年ジャパンカップ、2014年ドバイシーマクラシック有馬記念
  • ベストウォーリア(2013年ユニコーンステークス、2014年マイルチャンピオンシップ南部杯、プロキオンステークス、2015年マイルチャンピオンシップ南部杯、プロキオンステークス)
  • モーニン(2016年フェブラリーステークス、根岸ステークス)
  • シンハライト (2016年優駿牝馬、チューリップ賞、ローズステークス)

その他重賞競走優勝馬

  • ナスダックパワー(2001年ユニコーンステークス)
  • サンライズペガサス(2002年大阪杯、2005年大阪杯、毎日王冠)
  • サカラート(2005年東海ステークス、ブリーダーズゴールドカップ、日本テレビ盃、2008年マーキュリーカップ)
  • ブライトトゥモロー(2007年新潟大賞典)
  • キングスエンブレム(2010年シリウスステークス)
  • クレスコグランド(2011年京都新聞杯)
  • イタリアンレッド(2011年七夕賞、小倉記念、府中牝馬ステークス)
  • エピセアローム(2011年小倉2歳ステークス、2012年セントウルステークス)
  • アダムスピーク(2011年ラジオNIKKEI杯2歳ステークス)
  • ドナウブルー(2012年京都牝馬ステークス、関屋記念)
  • ソリタリーキング(2012年東海ステークス、日本テレビ盃、2013年マーキュリーカップ)
  • エクスペディション(2012年小倉記念)
  • レッドクラウディア(2012年クイーン賞)
  • タッチングスピーチ (2015年ローズステークス)
  • リラヴァティ (2016年マーメイドステークス)
  • ダイアナブライト(2021年クイーン賞)※地方転厩後

主な厩舎所属者

※太字は門下生。括弧内は厩舎所属期間と所属中の職分。

  • 平田修(1998年-2005年 調教助手)
  • 赤木高太郎(2010年 騎手)
  • 荻野要(2010年-2021年 騎手→調教助手)
  • 服部寿希(2019年-2021年 騎手)

関連項目

  • 競馬の調教師一覧

参考文献

  • 『優駿』2001年10月号(日本中央競馬会)江面弘也「石坂正調教師 - テンポイントが導いた競馬の世界への道」

脚注


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